子どものアイデンティティに関する問題を衆知させる、選手の名前が呼ばれないサッカーの試合「No name match」
3月にウルグアイの首都モンテビデオで行われた、サッカーワールドカップ南米予選 ウルグアイ vs パラグアイの一戦で、視聴者はいままでに体験したことのないような不思議な実況を耳にしました。
「遠藤がボールをカット!右サイドから長友が駆け上がっている!遠藤から本田、そして長友に通った!長友のセンタリング!!香川が合わせてゴーーーーール!!!!」普通のサッカーの試合はこんな実況ですよね(松木がうるさいとかは別w)。しかし上の動画を観ると、選手は名前で呼ばれず、背番号だけで呼ばれていることがわかります。
これはユニセフ・パラグアイがある問題を提起するためにテレビ局やラジオ局に協力してもらって行ったもので、ゲームが始まって少しの時間、2つのテレビ局と4つのラジオ局で“名前のないサッカー大会”が実況されました。パラグアイでは、去年生まれた子どものうち4人に1人は名前が役所に登録されなかったそうです。名前が登録されないということは、国や自治体がひとりひとりを把握できないということになります。子どものアイデンティティや人権にも関わるこの問題を衆知させるため、この実況が行われたのでした。
ただでさえ関心が高いワールドカップ予選で、しかも現在ウルグアイは本大会出場できるかギリギリの成績のため視聴率が高い。パラグアイは南米予選最下位ながら、可能性はないわけではない。かなり多くの人がこの試合を観ていたと思われます。
余談ではありますが、この試合の結果は1-1のドロー。ウルグアイにとっては痛い引き分けとなっています。
- 2013-05-11 (土) 8:45
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