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広告制作に関わる人はもっともっと世界に目を向けていかなければならない

今朝とあるCMを見て、Twitterにこんなツイートをした。

「ANAの羽田のCM作ったのどこやろ…。ちょっと前に、違う日本のCMで付け鼻して外人の振りするのが、一部でレイシズム問題として騒がれてたんやけどなぁ…。」

羽田空港のANA(全日空)の国際便増発のCMであった。
西島秀俊さんとバカリズムさんが空港で会話をする。
最後に西島さんが「日本人のイメージ変えちゃおうぜ」とバカリズムさんに声をかけると、付け鼻をしたバカリズムさんが「Sure」と答えるというものだ。

夕方、このCMに海外から苦情が来ているというニュースが流れた。その後のニュース記事を見ると、ANAは一部修正して対応することに決めたようだ(Yahoo記事)。

約半年前、同じような騒動があった。
先のツイートに「違う日本のCM」と書いたものだ。
それは東芝のパン焼き器のCMで、ANAのそれと同じように日本人出演者が付け鼻をして欧米人になりきるというものだった(KOTAKU記事)。

今回ANAは半年前の東芝の騒動を知ってか知らずか(知らなかったのでしょう)、全く同じネタをし、全く同じように海外からレイシズム(人種差別)の指摘と苦情を受けることとなった。残念ながら、「日本人のイメージ変えちゃおうぜ」と声高に叫んだANAは、日本人のイメージを変えるどころか半年前から変わっていない日本人を晒すことになってしまった。

◆日本人の差別意識
日本人を構成する民族の大半は大和民族であり、それもあってか民族構成が複雑な欧米に比べ、日本人は人種差別意識が低いと言われている。今回の問題も「おもしろい」の解釈が日本人主観での発想であったからに他ならず、欧米人をステレオタイプ的に表現してしまっているところが発端となっている。

◆寛容性とアイデンティティーにおける民族性の違い
欧米のテレビで外国人が日本人のマネをしていたら、日本人はどう思うだろうか。よっぽどバカにでもされない限り、笑って済ましたり問題にすることも少ないのではないだろうか。一方で日本人が付け鼻をつけるとこの通りである。この程度で怒るなとも思うが、そもそもその考えが一方的なので自戒を込めて肝に銘じておきたい。
日本人が寛容的であると言えばそうかもしれないし、諸外国の人々が多くの日本人よりアイデンティティーを大切にしている人が多いと言えばそうかもしれない。大切なことは、自分がいいと思ったから全てOKであると早々に結論づけてしまわないことだ。

◆広告代理店のリサーチ能力とセカンドオピニオンの弱さ
敢えて言わせていただくと、今回の一番の原因はここではないかと思っている。クライアントは国際企業であれ、広告に関しては素人だ。広告代理店は専門家として日本と海外との考えの違いを理解し、なるべく角の立たない制作物を仕上げなければいけない。特に今回のようにANAや東芝といった世界を股にかける企業のお手伝いをする場合に、いわゆる上記のような日本的発想は命取りになる。インターネット社会の現代では、国内向けも海外向けも無いと思わなければいけない。
半年前の東芝の騒動を誰も知らなかったのか、誰も指摘しなかったのか、問題視しなかったのか、当事者でもないのでそれはわからないが、「人種・民族」「宗教」「性別」「政治」「動物愛護」などを取り扱う時は十分に精査しなければいけない。

こうした問題は企業イメージを簡単に落とす。批判している多くの人は広告代理店について目を向けていない。矢面に立たされ批判されるのは主にクライアントである企業だ。広告を作るということは、そういう責任を負うということなのだ。リサーチや適切な助言を含めてお金をもらっているわけですしね。

◆最大幸福を目指そう
国際的な広告祭で、近年日本の広告代理店制作のCMの受賞が少ないような気がする。日本と海外のウケの違いもあるだろうし、CMにもとめているものや伝え方の違いもあるだろう。賞を取ることが一番大事でもないし、海外でウケそうなCMを目指さなくてもいい。賞を取らなくてもクライアントに利益が出ればそれはそれで成功だ。とはいえ、広告製作者にはクライアント企業の利益だけでなく、最低限CMに関係する人(クライアント、視聴者含め)の最大幸福を目指して企画・制作してほしいと思う。

[追記]
NHKのニュースによると「今後、新しい内容のコマーシャルを用意して放送する」とのこと。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140120/k10014633181000.html

[追記2]
個人的にANAの陸マイラーなので、ANAにはもっと素晴らしい広告を打って挽回していただきたく。

[追記3]
CM表現と関係ないHANEDANA 2014キャペーンは継続されているようですので、みんな応募して当てて羽田から海外に行きましょうぞ。
http://www.ana.co.jp/inttour/campaign/hanedana2014/

  • 2014-01-20 (月) 22:32
  • 4c'sn.

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